「食べ……ます?」 先程と同じようにウィニエルがプリンを一匙掬って、俺の前に差し出す。 「……ああ」 アイリーンとフィンが居なくなったからか、今度は素直にそのスプーンを口に運んでもらう。 程よい甘みの舌触りの滑らかなプリンが口腔内に広がる。それは舌に絡んで次第に溶けていき、消えてなくなると、バニラの風味が鼻に抜けていった。 「……こういうの、何だか照れますね……」 「……そうだな……ん、甘くて旨いな」 「……もう一口どうぞ」 「ああ」 ウィニエルは、頬をほんのり上気させたまま、もう一口、甘いプリンを俺の口に運んでくれる。 俺は差し出されたスプーンが口元に来ると、静かに口を開いた。 「ふふっ」 素直に従う俺を優しい眼差しで見つめるウィニエルが気恥ずかしそうに笑う。 「もう一口どうぞ」 「いや、君が食べてくれて構わない」 「いえ、あなたが食べてください。といっても、あと一口分しかありませんから」 「……そうか」 俺はウィニエルに最後の一口を貰うと、それを舌で転がしてよく味わった。 しばらくは、もう食べることができないであろう、その味を惜しむように。 「ごちそうさま」 「ごちそうさまでした」 二人で食事を終えた言葉を交わすと、テーブルの上を片付ける。 「フェインが殆ど片付けてくださったから、洗い物、あと少しだけですね」 「残りも俺がやろう」 「いえ、私やります。ちょっとだけですから」 フェインは座ってゆっくりしててください、と、 ウィニエルはプリンが入っていた容器とスプーンをテーブルから回収して、台所に消えた。 食堂に残されたのは俺一人。 「すぐに、コーヒー淹れますから」 台所からウィニエルの声が聞こえる。 そのすぐ後で、ウィニエルの歌声が聞こえる。何を歌っているのかまではわからないが、軽やかなリズムの歌で機嫌は良さそうだ。 さっきあんなことされたのに、もう忘れているかのようだ。 「…………」 ……なんだか夫婦みたいだなと、時々思う。 ウィニエルはそういう風に思わないのだろうか。 俺はセレニスと夫婦だったから、わかる。 何気ない会話と、何気ない日常の中の、幸せな時を何気なく過ごしてきた。 婚姻を結でいた期間はたったの一晩。 だが、そういう意思のあった日々も、夫婦と言えるならそうだ。 ずっと一緒に過ごしていたのだから。 互いに想い合い始めて、恋が愛になった頃。 俺はセレニスを一生愛すると誓ったんだ。 ウィニエルには、わからないんだろう。 だからこそ、まだ、結婚しようとはしないし、俺もプロポーズできずにいる。 フィンのことなら、恐らく大丈夫。 血の繋がった子供なのだから。 むしろ早い方が、あの子の為になると思うのだが……。 このままウィニエルのタイミングを待つなら、借金を清算するまで無理なんじゃないかと思う。 「……そんなに待てないぞ」 ぽつり。 独り言が、口を突いて出ていた。 「……ご、ごめんなさい、終わりました。今、お湯沸かしますね」 ウィニエルがテーブルを拭こうと濡れた布巾を手に食堂に戻ってきていた。 先程と同じように向かい合った位置に彼女がいる。 「あ、いや、なんでもないんだ。コーヒーなら必要ない、ちょっとここで話でもしないか?」 「え? あ、はい、いいですよ?」 俺はテーブルを拭くウィニエルを会話に誘うと、彼女は二つ返事で承諾する。 「……昼間の話、聞くつもりはなかったんだが……」 「……聞いちゃったんですよね……どこから……あ、いえ……言わなくてもいいです……」 ウィニエルはそれだけ言うと、押し黙ってしまった。 別に俺は立ち聞きするつもりで、その場にいたわけじゃないのだが……。 まぁ、しばらく黙って聞いていたのは確かだが、俺が帰る頃に話している二人も二人だろう? ウィニエルはそれ以上何も言わずに黙ったままだった。 自分でも何を言っていいのかわからない様子で、俺と目を合わせづらそうに何度も同じ場所を布巾で拭いている。 「……フィンがインフォスの勇者の生まれ変わりとかいう……所から、だな」 俺は観念したように、白状した。 「……そんなところから聞いてたんですか……すみません……気がつかなくて」 ウィニエルが何故か頭を下げて謝る。 「……なぜ君が謝る?」 「……フェインに聞かせたくない話をしていたから……」 ウィニエルは俺の気持ちを見透かすように、俯き加減で自分の手元を見つめる。 「……それは……そうだが……アイリーンとの会話だろう?」 男にも男同士でしかしない会話があるように、女にも女同士だけの会話がある。 アイリーンとウィニエルの話の内容は俺は聞てはいけないものだったんだろう。 すぐに声を掛けていればこんなことにはならなかった。 それに興味本位で聞き耳を立ててしまったものだから。 俺の醜い嫉妬心が彼女を苦しめている。 「でも、フェインはそのことで、怒っているのでしょう?」 俺が話すと、ウィニエルは顔を上げて、真っ直ぐに俺を見据えて鋭く明瞭に問い掛けてくる。 「う……ま、まぁ……」 俺は彼女の正直な視線に、しどろもどろになってしまった。 「……さっきの、出してもらえますか?」 「え……」 ふいにウィニエルがそんなことを言う。 「……ずっと中に入ったままで、ちょっと違和感が……」 頬を赤らめて、視線を伏せがちに、俺にお願いをする。 「……あ、ああ、そうだったな。今ならアイリーンもフィンも居ないし……ここに座ってくれるか?」 「……はい……」 ウィニエルにテーブルの上へ座るよう促すと、静かに椅子の納まっていない側に腰掛けた。 「……脚、開いて」 「……は、はい……」 ウィニエルの顔が羞恥に耳まで赤く染まっている。 俺は彼女の足を持ち上げて、開脚させ、テーブルの淵に踵を引っ掛けるように足を置く。 俺の目の前で、ウィニエルがMの字に脚を開いている。 「……っ……は、恥ずかしいから……早く……」 アイリーンとフィンが戻ってくるとまずいと思っているのかウィニエルは俺と視線を合わさないようにテーブルに腕をついて、身体を支える。 「……大丈夫、アイリーンは風呂が長い。それに、フィンと風呂場で遊んでいるはずだから」 俺は彼女を安心させるようにそう言ったのだが…… 「……それも、困りますっ……!」 ウィニエルはいやいやをするように頭を何度も振るった。 その様子に再び悪戯心が俺の中に湧いてくる。 「…………ふぅん?」 俺は彼女の前に跪いて、開脚した脚からスカートを捲くると、下着の縁から指を二本進入させて、少し乾き始めたが、まだ濡れたままのそこに触れる。 何度か指を動かしてみるものの、ウィニエルの膣の中にいるオリーブの先が少し触れるだけで、出てくる気配はない。 「……ぁ……っ……ぅ……ん」 俺の指に反応して、ウィニエルが小さな声を漏らす。 そして、中から潤滑油のごとく、愛液が溢れてくる。 このまま、触れていても取れるだろう。 でも、それじゃあつまらないだろう? 「……これじゃあ取れないな。大分奥にいってしまったのかもしれない。ウィニエル、脱がせてもいいか?」 「ぇ……ぁ、はぃ……」 突然の提案にウィニエルは素直に従って、俺が下着を脱がそうとすると、それに合わせるように腰を僅かに浮かす。 目の前に露になった彼女の秘所は赤く熟した果実のようで、俺を誘うように、蜜を滴らせた。 「……これなら、よく見える……」 「ぇ……ぁぅっ!?」 透明な雫に吸い寄せられるように、俺は秘所に顔を近付けると、そこに舌を這わせた。 「んんっ……ふぇぃんっ……!」 ウィニエルの身体が後ろに反って、俺の頭を、髪を乱暴に掴む。 「……ぺちゃ……吸い出せば出てくるかと思ってな……」 俺は飢えた野獣のように彼女の蜜を貪る。時折、蜜に濡れ潤った小振りの実も甘噛みして、丁寧に捏ねるように舌を動かす。 さっきまで和やかな食卓を囲んでいたテーブルで、酷く淫猥な音が響く。 「ぁっ……だ、ダメっ……わ、私っ……」 「……さっき、イッたばかりだから? ……何度でもイケばいい」 「フェインっ……だ、ダメっ……っ……はぁっ……」 拒否の言葉は聞こえるものの、本気じゃないのか、俺の行動を止めようとはしないのを見ると、もっとして欲しいということなんだと理解できる。 「……ほら……もう、少しで取れそうだ……」 「ぁん……ぁっはっ……ゃ……」 舌先が彼女の赤い花びらに侵入して、奥を嘗め回すと、先程よりもオリーブを近く感じる。 奥からの蜜で、押し流されつつあるようだった。 「……君がこうして感じているから、もうすぐ出てくる」 俺は赤く熟した花びらの入口を丁寧に舐めながら、濡れ戯った突起を指で少し早く捏ね繰り回した。 「ぁっ……あっ……ま、また……きちゃ……はぁぅっ……」 ウィニエルの身体が再び反る。虚ろな瞳で宙を見つめて“はっ、はっ”と荒く息をする。 微少な震えが、彼女の太ももから伝わってくる。 「……待ってくれ、今度は俺もっ……」 俺は一旦、ウィニエルのそこから顔を離し、跪いたままカチャカチャと音を立てて、急いたようにズボンのファスナーを開け、下着の口も開いて、中からずっと我慢し通しだった肉欲の象徴を取り出すと、立ち上がった。 その時、コトンと、僅かな音が床に聞こえた気がした。 「……は、やく……来て……」 うっとりした表情で俺を呼ぶウィニエルの声が甘くて、たまらず、 「ウィニエル……っ!」 がっつくように、彼女の中に挿入する。 ウィニエルの狭い窪みの襞を広げるように、俺自身が奥へ奥へ。 「っ……入って……くるぅっ……!! んぁーっ……」 ウィニエルは一瞬顔を顰めて、最奥まで俺を受け入れると、大きく息を吐いたのだった。 「ああ、入った。動くぞ?」 俺の問い掛けに、無言で何度も首を縦に振る。 それは早く、早くとせがんでいるようだった。 期待に応えるべく、俺は腰を振る。 「っ……う、んっ……気持ちいい……っ……」 「っ……くっ……」 いつの間にかウィニエルの手が俺の肩を力なく掴んで、行為に陶酔している顔が、ここからよく見える。 腰の動きを少し早めてみる。 「フェイン、すき……大すき……!」 「……ウィニ……俺……」 俺も、と言いたかったが、ウィニエルをいかせてやりたくて、動きを早めた所為か息苦しくなって声が出なかった。 「ぁっ、イッちゃうっ……フェイン、わた、しっ、ま、また、イッちゃいますっ……」 「ん……はっ、はっ……ああ、イッて構わない、イクといい」 俺は腰の動きと共に、指でウィニエルの小さな突起に触れて弄繰り回した。 「あっ、あっ、あっ、それっ、ダメっですっ!! んんんんんっっっつつ!!」 全身が電流に打たれでもしたように、ぶるぶると震え、ウィニエルが俺の首筋に腕を回してしがみ付いてくる。 まだ腰をそんなに動かしてもいないのに、もう達してしまったようだ。 それでも俺は動きを止めない。 「ぁっ、ぁっ……くぅっ……はぁぅっ……はっ、はっ……ぃ! ……ゃっ! ……ぃゃっ!!」 抽送を繰り返して、尚も激しく、彼女を攻め立てる。 「あぅっ! あぅっ! ……はっ、はぅぅっ! ……はぅぅっ!!」 声にならない悲鳴にも似た息を吐くウィニエルに構わず、俺は、“はっ、はっ”と荒い息を立てるだけで、ただひたすら、腰を振り続ける。 彼女の表情は見て取れないが、陰裂が悲鳴を上げているんだろう、俺と同様に息が荒いことだけはわかった。 「はぅっ! ……はっ……! ……はぅっ」 俺の首に縋り付きながらいやいやと、頭を必死に振るうが、それでも俺は動きを止めない。 やっと少し、気持ち良くなってきた。 「っ……ウィニ……エルッ……気持ちよくなって……来た……ぞ」 「はぅっ、はぅっ!!」 彼女の耳元に荒い吐息と共に告げると、ウィニエルは頭が真っ白なのか、何が何やらわからない様子で相変わらずいやいやを繰り返していたかと思うと、刹那、宙を見上げて頷き始めた。
to be continued…