前書き
贖いシリーズアナザーストーリー。明るいえっちな3P……?
「やんっ……だ、だからそんなとこ触らないで下さいと……何度も……っ……あっ……」 時空を越えた誰も知らない白亜の神殿で女の声がした。 粘着質の音が無数の巨大な柱が聳え立つ冷えた廊下に響く。 赤い唇が甘く白い息を吐いて、冷たく白い大理石の壁に力なく寄り掛かり、壁は女の吐く息で曇る。 「んっ……だ、駄目っ……はぁんっ……」 女は一筋の涙を流しながら、唇からも透明な滴を零す。 視線を落とし、女の下腹部を見てみれば、短いスカートが不自然に膨れ上がっていた。 両脚を肩幅よりも広げ、壁に密着した上半身より少し離れ、腰を突き出す格好で荒く肩で息をする。 「……んふぅ……や……いいよぅ……」 女は冷たい壁が熱を吸収するのが心地いいのか、火照った顔を壁に摺り寄せた。 その女の背には翼が付いていた。 純白の翼の飴色の長い髪が汗ばんで肌にへばり付いている。 絹の肌は所々赤く染まり、彼女の太股には滴が零れ落ち、床を濡らす。 その女の股の間で何かが蠢いている。 音はどうやら、そこから聞えてきていたらしい。 「……やっ……も、もう許して……」 女は許しを請う声とは裏腹にぎこちなく腰を振った。 聞き慣れない淫猥な音が、その感覚を早める。 「……ウィニエル、君は嘘吐きだな……こんなに感じているのに……」 女……ウィニエルのスカートの中から、男が口元を淫らに濡らしながら彼女を見上げる。 彼の顎から零れた透明の糸が僅かに伸びて、直ぐに床へと落下した。 「だ……だってぇ……フェインってば上手すぎるから……んんっ!!」 ウィニエルは振り向くように男……フェインの方へ視線を落とすと、そのタイミングを見計らったかのようにフェインは二本の指を彼女の股の方へと滑らせ、蜜の溢れる源へと吸い込まれるように挿入した。 「んはっ! や、やだっ、フェインっ!!」 ウィニエルの瞳が一瞬見開き、次には抗議の目でフェインの方を見つめていた。 だが、フェインはウィニエルの言葉などおかまいなしに、彼女の濡れた奥に入れた指を上下運動させ、更には顔を近づけ、蜜を絡め、その先の突起を舐める。 始めはゆっくりと、次第に早く。 それに習って、音も激しくなってゆく。 「やぁんっ……おかしく……なっちゃぅ……あっ……ああんっ……」 それでも、ウィニエルは抵抗せずされるまま、ただ、喘ぎ声を上げた。 「……ほら、イッてしまえばいい」 フェインの声が少し、くぐもったようにそう聞えた。 「やっ……嫌っ……フェインのが……いいっ……あっ……」 ウィニエルが歯を食いしばり、目を固く閉じると涙が頬を伝う。 瞬間、ウィニエルの肩が一度身震いするように震え、その後全身が大きく震えた。 ◇ 「はぁっ……はぁっ……。 ううっ……フェインの意地悪……」 ――数分後。 肩で息を切らし、床にへたり込んでしまったウィニエルは自分の背後に立つフェインを恨みがましそうに睨んでいた。 「……そういう目はあまりしない方がいい」 「え……?」 フェインはウィニエルの視線を一蹴するように鋭く冷たい視線を彼女に浴びせ、自らの腰のベルトを外し始めた。 「ふ、フェイン?」 ウィニエルの顔がみるみる青ざめていく。 フェインの膨れ上がった欲望がウィニエルの前に姿を現そうというのだ。 「あ、あの……私……こんな所でしたくなんて……」 ウィニエルは顔を真っ赤にしながら両手指の腹を合わせて人差し指を回し始めた。 「俺のがいいんだろう?」 フェインは表情を変えないまま首を軽く傾げ、自らを取り出そうとしている。 「う……だ、だってそれはフェインが……(そもそもここ、神殿の廊下なんですよー!? 誰か来たらどうするのー!?)」 ウィニエルは眉を強張らせて今度は右手を口元に持って来て、一指し指の指先を唇に軽く挟み、慌てるように告げる。 「……じゃあ、さっきのは嘘だったのか?」 フェインは手を止め、ウィニエルに訊ねた。 「う……」 ウィニエルは何も言えずにいたが、顔だけ更に赤く染める。 ここで、私が「嘘じゃない」と言ったら彼は私を抱いてしまう。 ここで、フェインを止めなければ私はどうなってしまうのだろう。 誰かに見つかりでもしたら、恥ずかしさで死んでしまうかもしれない。 どうしたら、彼は“それ”を治めてくれるの? でも、私は嘘じゃないとしか言えないし……。 ウィニエルはそんなことを考えていた。 「……どうするんだ? 君が起こしたんだろ?」 フェインは相変わらず表情を変えずに冷たく言い放つ。 「ひーん……」 ウィニエルは身を守るように自らの身体を抱きしめた。 今の彼女は狼に狙われた子羊だ。 『ちょっと待てぃ!!』 そんな二人の愛の語らい(?)の間に聞き覚えのある声が響いてきた。 「え?」 ウィニエルは耳を疑い、両耳を手で覆ってみたり、外したりしながら辺りを見回す。 「……ウィニエルは、俺のだっつってんだろ!!」 鬼の形相をした男が二人の方へと猛スピードで走って向かって来る。 そして、男はそのままの勢いでフェインを突き飛ばした。 「なっ……!?」 不意の行動にフェインは上手く避けられず数メートル吹っ飛ばされる。 「大丈夫か? ウィニエル」 男はウィニエルを庇うようにして、彼女に駆け寄る。 「ぐ、グリフィン!? ど、どうして!?」 ウィニエルは信じられないといった表情で目の前の男……グリフィンを見つめた。 「……お前……綺麗になったな……」 グリフィンはウィニエルに微笑み掛け、頬に軽くキスをする。 「いや……あの……」 何で、グリフィンがここに居るんですか? っていうか、グリフィンてこんなキャラでしたっけ? ウィニエルの頭は瞬時に混乱し、それ以上の言葉が出てこず、口だけが金魚のようにパクパクと動いていた。 「さ、こっち来いよ」 グリフィンは素早くウィニエルの腰に手を回し、抱き上げるように立たせてウィニエルの瞳を逃さないようにする。 「え?」 「……そいつより、俺とやった方が絶対いいって。俺自信あるし」 状況がよく飲み込めていないウィニエルを余所に、グリフィンは不適な微笑みを浮かべる。 「えっ!? ええええっ!!??」 その声と同時にウィニエルの思考は停止…………、した。 彼女は耳まで赤く染めると、刹那真っ白になり、石と化していく。 「……っ……不意をつかれたな……ぐりふぃん? ……ああ……お前が……」 ウィニエルが石になっていることなど気にも留めずに、フェインは立ち上がった。 「ふん……その台詞はまず、ズボンを穿いてから言えよ。格好悪ぃぜ」 グリフィンは石になったウィニエルの肩に手を置きながらフェインの方を向いてニヤつく。 「なっ!? あっ!!」 フェインは自らのとんでもない格好に驚きあたふたしながら下がったズボンを上げた。 今度ばかりは顔を少し赤くして慌てている。 それをグリフィンは、 「……お前、盛りの付いた雄犬みてぇな奴だな。これじゃウィニエルが可哀想だ。やっぱウィニエルには俺じゃないとな」 冷ややかにフェインをあしらい、石のウィニエルを抱き寄せる。 「ふん、何言って……お前で彼女が満足出来るとでも思っているのか?」 フェインはいつの間にかウィニエルの隣に移動し、グリフィンからウィニエルを奪う。
to be continued…