「何ぃ!? お前、ウィニエルの初めての相手が俺ってこと知ってんのか!?」 言葉と同時に石の天使がグリフィンの方へともたれ掛かる。 「だからなんだ? 初めてなんてどうでもいい。今の彼女が感じてくれればそれでいい」 今度はフェインの方へと石像が傾く。 「お前のは強姦って言うんだよ! 俺なら優しくやってやれる!」 石像はグリフィンへ。 「ふん、彼女がそれを望んだからだろう? 俺は優しくだってしてやれる。どんなことでもしてやれる」 物言わぬ石はフェインへ。 「お前……相当自信があるみてぇだな……」 グリフィンはフェインを睨みつけ、苦笑いを浮かべて石を引き寄せようとする。 が、フェインは渡そうとはしなかった。 「……放せよ」 「……お前が放せば済むことを……」 石を挟んで二人の男が見えない導火線に火を点ける。 (ひぇええええ……) 二人の間に挟まれた石……石像……石の天使……石のウィニエルの心の叫びが神殿に響いた……、気がした。 叫び続けるウィニエルをそのままに、二人は卑猥な言葉を含ませながら彼女を引き合う。 導火線の火は燻り続け、爆発が近づく。 「わっかんねぇ奴だな! ウィニエルは俺の方がいいに決まって……」 「……なら、ウィニエルにどっちがいいか聞いてみればいい」 約十分程言い合いは続き、ウィニエルの石化がようやく解け始めていた。 「………………(私の知らない言葉の羅列が延々と続いてる……フェインもグリフィンも……知らない人みたい……)」 ウィニエルはただただ、涙を流す。 「お! それいいじゃん。そうすっか!」 「……まぁ、結果は見えているがな」 「ふん……どうかな」 導火線の火がふと消え、二人は元に戻ったウィニエルへ視線を移した。 「へ?」 ウィニエルは突然二人に見つめられ、目を丸くする。 「……ウィニエル。俺達二人の内どちらがいいか、試してみないか」 フェインがそう告げながらウィニエルの髪を指に絡め、匂いを嗅いだ。 「え゛? ……た、試すって?」 ウィニエルは状況が飲み込めずにフェインの顔を見つめる。 「やるんだよ」 今度はグリフィンがウィニエルの顎を指先で持ち上げるように軽く動かし、自分の方へと向けて告げた。 「は? やる……って? 何を?」 グリフィンと目が合うとウィニエルは未だに状況が飲み込めていない様子で、常に潤いを帯びているエメラルドの瞳を二度ゆっくりと瞬かせた。 「……今、ここで、俺達二人とセックスして、どちらが良かったか聞かせて欲しい」 フェインが至極真面目な顔でそう告げるので、ウィニエルは彼の方へと向いた。 余りにストレートな物言いに、その顔が徐々に紅に染まってゆく。 「…………はぃいいいいい!!??」 再び、ウィニエルの思考は停止した―――。 この二人は何を言っているのだろう。 二人と……せ、セ、セックス!? どうやって!? というか、私天使なんですけど! 淫乱は大罪なんですけど! (で、でもちょっと興味あるかも……なんて) ウィニエルはぽっと頬が熱くなるのを感じる。 そんなことを考えているウィニエルを余所に、二人は上着を脱ぎ始めていた。 「……へぇ、結構いい身体してんじゃねーか。ウィニエルが惚れるのもまぁ、わからなくもないか。 ……で、先、どっちがする?」 グリフィンは不適に笑みを浮かべながら脱いだフェインの上半身を見て、関心するように腕組みをした。 「そうか……お前のような身体が彼女の好みってわけか……。 そうだな……ここは公正にじゃんけ……」 フェインもグリフィンの上半身を見て、同じように不適に笑い、じゃんけんで順番を決めようと言い掛けたが、 「……わ、私二人同時になんて……出来ません。こ、壊れちゃいます……」 ウィニエルが俯いたまま首を横に振るう。二人の目を見て言えないのは耳が赤いことから察することが出来た。 「二人……」 「同時……?」 二人の男の耳は、例えば野生の狼が近くに潜む獲物の物音を察知するが如く、耳聡くウィニエルの言葉を捕らえ、反復した。 「……一緒になんて絶対ダメダメっ!」 ウィニエルは首を激しく横に何度も振るう。 「…………あ、あのさ……ウィニエル?」 グリフィンはウィニエルに声を掛ける。 「………………」 フェインは黙ったままだった。 「……誰も二人同時になんて言ってねーよ?」 グリフィンが上半身裸のまま、ウィニエルの肩に触れると、彼女がグリフィンを見上げた。 「へ? ……はっ!? わ、私何言ってっ!!??」 ウィニエルの瞳が見開いて、瞬時に涙が溢れ出した。 顔から火が出る程に恥ずかしい……らしい。 「………………」 ウィニエルの様子にフェインは特に何も口にすることもなく、何やら考え事をしているようだった。 「……ぁ…………」 グリフィンも真っ赤な顔の彼女を目の当たりにして、言葉を失う。 それから、直ぐのことだった。 先に口を開いたのはフェインだった。 「……二人同時もいいか」 「あ? あ、ああ…………」 フェインの言葉にグリフィンは同意する。 「……うぅ…………(きゃ~恥ずかしいぃよぅ~!!)」 ウィニエルには二人の話など耳に届かず、自分の失言に頭を抱え、小さく蹲っていた。 穴があったら入りたい……とでもいったところか。 ……穴に入るのは男二人なのだが。 「なぁ、ウィニエル」 フェインがウィニエルに近づき、耳元で囁く。 「……は、はい!?」 ウィニエルは急に耳に吹きかけられたフェインの熱い息に彼を見上げた。 「……君の言ったことをしよう」 フェインの声は低く、甘い。 「はい?」 ウィニエルは少し酔いそうになりながら、火照った頬で生返事する。 「……俺達二人と……つまり、三人一緒にセックスするんだ」 ぼそぼそと、フェインの息がウィニエルの脳内へと侵入してゆく。 「はっ!?」 何を言われたのかいまいち把握できずに、フェインの顔をもう一度見返した。 「……3Pってヤツだな」 グリフィンが鼻息を一瞬荒げて告げた。 「ええっ!!??」 …………その後、場にそぐわない淫靡な音と声が白亜の神殿内の静寂を乱していた。 ……続……く?
end
後書き
…………途中まで書いてたんですけど、続き書けそうにないんで強制終了。
続きは気が向いたらで。
見つけて下さった方すごい。おめでとーです。そして、すみません……。ギャグちっくです。明るいえっちを目指してみました。
かる~い感じで読んでいただけたら幸いです。だいぶ前に書いてたんですけど、途中で終わってます(飽きた)。
せっかくグリフィンとえっちなのに書けませんですみません。
3Pとかってどうなん(笑)
書いててフェインて上手いんだー……ほへー。みたいな。
……何か何でもありですね。
…………反省。
尚、続くかも続かないかも……です。ハイ。
隠しリンクページに2009年からアップしていたものを番外編として晒します。
贖いのパラレルワールドで明るいえっちです。
仲良く三人でやるがいい! 的な。
こういうパラレルものもたまにはいいなぁ。
実は続きがあるのですが季節ものなので、またその時期になったら晒していきます!
読んでいただきありがとうございました♪