贖いの翼・銀の誓言 三片:二人の距離⑤ フェインSide ★

「……ウィニエル」

 彼女の様子に俺は優しく微笑み返すと、告げる。

「はぃ……?」
「……俺も同じだ」

 ほら、と、ウィニエルの手を引いて、俺の膨れ上がったモノに触れさせる。
 ウィニエルとキスをするまでは平常だったそれは、今はそそり立っていた。

「ぁ……フェインも……」

 ウィニエルが潤んだ瞳で俺を見つめる。

「いいか?」
「はい……」

 ウィニエルは“ここで?”なんて野暮なことは言わない。
 俺は彼女を浴槽の縁に手を掛けさせ、たったまま四つん這いに近い格好で腰を折り、尻を突き出すようにして俺の方へと向けさせる。

「……こう、ですか? ……この格好、恥ずかしい……」
「ああ、これならよく見える」

「…………」

 ウィニエルの顔に羞恥の色が見える。

「……濡れてる」

 ウィニエルの秘所を見ると、粘度のある透明な雫が滴り落ちている。
 催促するように俺を待っている。

「……ぅぅ……は、恥ずかしい……です」

 背後に居る俺に振り返りながら泣きそうな声を出すウィニエル。

「……恥ずかしくなんかない。綺麗だ、ウィニエル」
「……恥ずかしいですよぅ……」

 俺の褒め言葉に首を横に振りながらそのままの格好で、顔だけ俯いてしまった。

「……これなら、すぐ入れられそうだ」

 ウィニエルからの返事はないが、桃色の襞が一瞬ぴくりと動いた気がした。

「……どうする? ウィニエル?」

「…………」

 俺の言葉に先程から彼女は無言のまま返事をしなくなった。

 わかってる、早く入れて欲しいんだろう。
 入れる素振りだけ俺はさっきからしている。
 でも、俺は今日は君におしおきをしなければならないからな。

「ウィニエル?」
「……っ……は、早く……て……」

 か細い声が微かに聞こえる。

「ん?」

 俺はわざと聞こえないように訊ね返す。

「っ……フェインっ!! 今日は意地悪ですっ……は、早く、入れて……お願い……」

 ウィニエルが顔だけこちらに向けて文句を言ったあと、切なそうに息を吐いて告げる。
 その艶かしい色香に心臓がどくりと一際大きく跳ねて、

「……よく、言えました。満点だ」

 俺はウィニエルの柔らかい女性らしい尻臀をがっちり掴んで、秘所に熱くなった情熱を宛がって、奥へと埋めた。

「ああっ……!!」

 待ち望んだものが来た喜びの声を彼女があげる。
 ウィニエルの襞に擦れて、俺の肉欲の塊から何とも言えない心地よい快楽の感覚を全身に伝えてゆく。

 堪らない。

 彼女の中が気持ち良過ぎて、ウィニエルのことなんかお構いなしに俺は勝手に動き始めてしまう。

「ぁっ、ぁっ……ゃっ……はっ……!!」

 ウィニエルの声が切なげに、甘く聞こえる。
 今日は沢山濡れているからか、痛みは無いようだった。

「……っ……」

 俺は幾度も幾度も彼女の中に出入りを繰り返す。
 その抽送に沿うようにくちゅくちゅと結合部から水の合わさる音が聞こえてくる。
 酷く淫らなその音が俺とウィニエルには最高の興奮剤で、次第にウィニエルが遠慮がちに腰を振り始めた。

「ぁっ……はぁっ……はぁあっ! ……はっ……ぃ……」

 呼吸の荒いウィニエルが時々俺に振り返り、眉根を寄せて上気した顔で見つめてくる。
 その顔を見てみれば、余程気持ち良いのだろう、口の端から唾液をだらしなく垂らし、瞳には涙を湛えている。
 そして、俺はそれに応えるように奥まで届くように激しく突く。

「ゃっ……ぁっ……そ、そこだめぇ……!」

 俺の動きに堪らず、ウィニエルが浴槽の方へと向き直り、頭を垂れる。

「ぁっ……ぁぁっ!!」

 次の瞬間、がくんとウィニエルの腕が滑って、片手が浴槽に浸かってしまったが、もう一方の片手で身体を支え、浴槽に浸かった手もなんとか元に戻して俺から与えられる感覚をそのまま受け続けていた。

「……っ……わ、わたし、も、もう……ぃっちゃ……」
「……っ……ああ、ウィニエル……俺も、そろそろ……」

 俺の下半身も大分気持ちよくなってきた。
 あと、二割といったところか。
 少しだけ、動きを早める。

「……はっ……はぁっ……それ……じゃ、一緒……に……んんっ……!!」

 ウィニエルはまた俺の方に振り向いて可愛いことを言うが、俺の動きが激しくなったから、軽く身震いをした。
 多分、一緒にはいけないだろう。
 ウィニエルは感じやすいから、恐らく先にいってしまう。

「っ……ぁっ……ゃ、フェインっ! ……ぃっ……いっちゃうっ……わたしっ、いっちゃいますっ!!」
「……はっ……はっ……ああ、イッて良い」

 ウィニエルの声に俺が返事をしてすぐに、肩が微少に震え出したのが見えた。

「んんんんんっっ!!」

 達してしまった瞬間、彼女の押し殺したような唸り声と共に全身が痙攣した。
 それでも、まだ達してない俺は、動きを休めることなく奥を突き続ける。

「っあっ、あっ、ハッ……あんっ……やっ……!!」

 達した後も奥を突かれ、先程押し殺した絶頂の声とは違い、短い息を吐くと共に艶のある声がバスルームに響く。
 せっかくさっきは声を我慢したというのに、今の声は大きくて我慢できない様子で、余裕がないことがわかる。

「……ウィニエル、もう、俺も、いくっ……」
「はっ……はぃ……んっ……ぁっ! ぁんっ」

 それから数十秒もしないうちに、俺は達してしまう。
 先程のセックスで一度中に出していた俺は、ためらうことなく彼女の中に俺の精液を流し込んだ。
 ウィニエルも、何も言わなかったから恐らく構わないのだろう。

「……ぁ……温かいの……わかる……」
「はぁ、はぁ、はぁ……ん?」

 俺は呼吸を整え、程よい脱力感を得ると、ウィニエル臀部を優しく撫でた。
 最近はバックでしていなかったからか、白くて弾力のあるこの尻は触れるだけでも気持ちが良い。
 性的な意味だけでなく、何となく落ち着くような気がする。
 出来ればいつも触っていたいくらいだ。

「……あ、いえ、何でもないんです……ちょっと、くすぐったい……」

 ウィニエルが振り返り、ほのかに笑う。

「……君のお尻は気持ちがいいな。ずっと触っていたい」
「もう、フェインのえっち……」

 一刻、口を尖らせる素振りをするものの、すぐに微笑んでくれる。

「……性的な意味で言ってるわけじゃないんだがなぁ……」
「……どっちにしてもえっちです」

 そんな会話をしながら、ぬるりと、俺は萎んだ陽物をウィニエルから外し、外気に晒す。
 すると、彼女の下の赤い肉壁から白濁した液体が数滴、床に零れ落ちた。

「ぁ……流れてる……」

 俺がウィニエルから手を放すと、彼女は立ち上がり、やっと俺と向かい合わせになった。
 立ち上がった彼女の内太腿を俺の精液が伝っていく。

「……中に出してしまったが、よかったか?」
「……今更です。フェイン、子供が出来たら、可愛がってくれますか?」

 勝手に出しといて訊ねた俺を、ウィニエルは首を傾げて可愛く微笑んで許してくれる。

「……ああ、君と俺の子供なら、可愛いに決まってる」

 興奮時から解放された俺達はその後、二度目のバスタイムを過ごす。
 ゆっくりまったりとは行かず、のぼせないように手短に。
 情事後は互いに恥ずかしがることも、興奮することもなく、落ち着いたものだった。

 風呂から上がり、俺とウィニエルはさっき持ってきた水を交代で飲む。

「ふ~……さっぱりしましたね」

 湯上りのウィニエルが濡れた髪をタオルで拭いながら俺を見上げる。
 部屋に着替えを置いたままのウィニエルにはとりあえず俺のシャツを貸した。
 随分と大きいのか、太腿を隠す程丈があった。
 半袖にも関わらず彼女が着ると、五分丈程ある。

「……そうだな」

 その格好が可愛く見えて、俺はつい、彼女を抱きしめてしまう。

「フェイン……?」

 ウィニエルの背は決して低くはないが、俺から比べるとやはり小さい。
 こうして抱きしめると腕の中にすっぽりと納まってしまう。

 翼がないからだろう。

 ウィニエルがこんなに小さいと感じ始めたのはここ最近のこと。
 大事にしないと壊れてしまいそうだ。
 丈夫だからと彼女は言うが、腕も細いし、身体も華奢な方で、体力だって然程ないはず。
 やはり、あの翼の存在感は偉大なものだったんだろう。
 守られている感じがしていた。
 いや、今もある種守られている感じはあるのだが……

「……だからか……」
「え……?」

 俺はふと、情事前、湯船に浸かっていた時に言っていたウィニエルの言葉を思い出す。

 “……私、何の力もないんですよ? 魔力さえ、持っていない。剣を振るう技もない。……でも、フィンには魔力がある”

 “……私、フィンを止められるかしら”

 “……フィンがいつか、堕天使の声を聴いてしまったら、私はどうしてあげたらいいの?”

 母親として、子を守りたいけれど、守れないかもしれないという不安。
 元天使だから余計にそう思ったんだろう。
 そうなった時、自分では力が及ばないとわかっている。

 今度は俺が、支える番なんだろう。
 彼女の不安を取り除いてやらないといけない。
 俺にならきっとそれが出来る。

 そう思う。

 フィンの話題が突然出たことに驚いたが、そういう漠然とした不安が彼女にはいつも付きまとっているということか。

「……なぁ、ウィニエル、部屋に行こうか」

 今更に合点のいった俺は微笑みながら目配せしてウィニエルの手を取ると繋いで手の甲を指で撫でる。

「……ぁ、はい……」

 ウィニエルは俺の視線の妖しさに気付いて静かに頷くと促されるままに俺の部屋へと向かった。

 今晩は遅くまで彼女を解放できそうにない。
 明日、彼女が無事に帰れるといいのだが……。

 部屋へ向かう階段の途中、窓から見えた月が白く光って俺たちを青白く映す。

 まだまだ、夜は明けそうにない――。

to be continued…

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後書き

 こんにちはー! お元気ですか? 私はちょい、体調は悪いですが、精神的には元気です!

 さて、三片。本当はここまでを二片までに入れる予定だったんですけど、前回も書いたけど、想いの外、えっちが長かった……んだなこれが。
 本当はもう一回やらせるつもりが、若干飽きてしまったので、それはまたの機会に書こうかなーと思ってます。

 一応目標が一つの話につき、一えっち入れるっていう。

 いやー、まだまだらぶらぶですね。前回も書いたけどフェインとウィニエルがこんなにらぶらぶになるなんて思わなかったわ。
 二人の距離が近付いてる証拠ですな。

 あれ? 全然お話暗くないじゃん! って思ってます? 思ってます?

 ですよねー。

 これからです、これから。
 胸糞も出るかなーと思ってます。そして、そういうのを書いてみたい。

 次回からストーリーが動き始めます! ……たぶん。

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