「……けれど、私は止められたんです。無理矢理止められ、想いを封じられたんです」 彼女は涙をそのままに声を震わした。 「……ど、それはどういう……?」 彼女の悲痛な声が俺の声までも震わせる。 「私の行動が尋常でないことを悟られた大天使様達は私の心を封じられたっ。そして、私は気付かなかったとはいえ、あなたがセレニスさんの後を追うことを止めたっ…………許せなかったんですっ」 「な…………許せなかったって…………」 俺は動揺していた。 彼女がセレニスの元へ俺を行かせなかったのは、彼女が俺を必要としていたからではなかったのか、と。 「私は自分が彼の元へ行けなかったから……同じ運命を持ったあなただけが望みを叶えるのが嫌だったのっ」 「同じ運命って……」 彼女の言葉に俺は次第についていけなくなる。 困惑して、何が本当のことか見えなくなってゆく。 彼女の涙が街灯の光を微かに反射し、思考を混乱させた。 「…………私達は突然の別れという共通の運命を持って出会ったんです。互いに愛する者と別れなければならない哀しい定め」 「…………俺は……」 彼女の口が次から次へと言葉を紡いでいく。 俺にとって忌むべき言葉、もう今更聞きたくは無い。 それ以上言わなくていい、ウィニエル。 ――聞きたくない。 だが、彼女は止まらない。 「ごめんなさい、フェイン! 私は酷い天使です。あなたをセレニスさんに会わせてあげれば良かったっ!! そうすればこんな風にあなたを傷つけることもなかったのにっ! ごめんなさいっ……っううっ……!!」 彼女は俺を見上げて、必死に溢れる涙を堪えていたが、涙は止め処なく流れ、彼女に貸した俺の服を濡らした。 「……っ……今……さら……っ……!!」 俺は彼女の腕を放してしまう。 俯いてしまう。 未来に向かって歩き始めたんだ。 セレニスのことは今でも愛している。 彼女のへの愛は永遠のもので、きっとこれからも変わることは無い。 だが、俺は生きることを選んだ。 生きることを選んだその俺に、 生きることを選ばせた君が、 “それは間違いだった” なんて言わないでくれ。 今更間違いだと言って泣かないでくれ。 今更俺にどうしろって言うんだ、ウィニエル! 「……っ……」 俺は歯を強く噛み締めた。 彼女に対して怒りが込み上げてくる。 ウィニエル、君は何故何度も俺を怒らせるんだ? そんなに俺のことが憎いのか? それなら俺は……。 「…………フェイン……あなたにお願いがあります……」 俯く俺に彼女は一息置いて、意を決したのか、しっかりとした口調で話し掛ける。 「……お願い?」 俺は半分怒りに我を失いかけていた。 「はい……今は堕天使を倒すことが最優先です。全てが終わったら、どうか……」 彼女が一体何を言おうとしているのかは知らないが、俺は苛立ちながらそれを聞く。 「……終わったら何だ?」 怒りに俺の声が震える。 「…………私を殺して下さい。私はあなたに償いたいのです。私を沢山傷つけて殺せばあなたはきっと救われて、新しく未来を歩めるはずです」 彼女が真っ直ぐ俺を見据えた。 「…………は……?」 俺はその言葉に絶句してしまう。 それが天使の言う言葉なのかと俺は耳を疑った。 それが互いに信頼し、信頼されている勇者への言葉なのだろうか。 「……君はそれでいいのか?」 俺にとってこれが最後の警告だった。 これ以上、俺をがっかりさせるようなことを言うなら俺は君を許さないだろう。 「…………いいも悪いも……私はあなたに酷いことをしたのです。私の命くらい何でもありません。それに……それが彼……グリフィンへの償いにもなると思いますし……」 彼女は俺が聞きたくない名を口にする。 「…………私が憎くはありませんか? フェイン」 今目の前に居るのはあのウィニエルなのかと思うぐらいに、彼女は酷く冷静に訊ねる。 「…………」 俺はすぐには答えられず、黙っていた。 こんな馬鹿な話があるか。 俺が君を殺すと思うか? 俺が君を憎むと思うのか? 男女間の感情はどうであれ、一年半、互いに少しずつ信頼を重ねてきた俺が、だ。 それは裏切りじゃないのか、ウィニエル。 憎んでいるのは俺じゃない。 君の方だ。 君は自分を、何も出来なかった自分を憎んでいる。 自分では大天使達に邪魔をされ死ぬことすら叶わないから、俺を使って死にたいんだ。 君は、 君は奴の元へ行きたいだけじゃないのか? 沸々と純粋な怒りだけが込み上げてくる。 俺の観点と彼女の論点はどこかずれている。 俺は彼女の道具ではない。 「……っ……」 俺は息を詰まらせる。 彼女の道具になんてなりたくない。 だが、彼女が自ら傷つくことを望んでるなら俺は……。 「……痛っ……フェイン!?」 俺は彼女の手首を取りきつく握りしめていた。 そして、彼女をある場所へと引っ張っていく。 途中彼女は俺の手を解こうと何度も抵抗したが、決して放してやらなかった。 ◇ 「……あっ……!?」 俺は彼女を宿の部屋まで連れ、ベッドへ乱暴に叩きつける。 俺の上着を纏った彼女は仰向けに倒れ、驚いて俺の方を見る。 裾が捲くれ上がり、羽根を隠している彼女はどこからどう見てもただの人間だった。 「……フ、フェイン……?」 彼女が不安な表情を浮かべる。 「……死ぬことは無い。傷つきたいなら傷つけばいいだろう?」 俺は冷ややかに彼女を見下ろした。 「……え……ど、どういうことですか……?」 彼女の足が捲くれ上がった裾から零れ、俺はそこへ目を動かす。 「……フェイン……?」 彼女は俺の視線に気付いて、静かに裾を正した。 「…………君の望み通り俺が傷つけてやる。……君が奴の名を思い出せなくなる程にな」 「あっ……!?」 俺は彼女が正した裾から彼女の足を引っ張った。 彼女は一瞬身体を凍らせる。 「やっ……!!」 刹那彼女は慌てて身体を起こし、四つん這いになって逃げようとするが、俺はそれをさせないように今度は彼女の手を引いて、彼女をベッドに組み敷く。 「……ウィニエル、逃がさない」 俺は片手で彼女の両手首を掴むと、彼女の頭上へ持ち上げ、抵抗されないように力を込めた。 「……っ……」 彼女が息を飲み、俺を睨みつける。 「……君が望んだことだ。俺を道具扱いするなら俺は君を許さない」 俺は彼女に冷淡に言葉を掛けて、彼女に馬乗りになり彼女の着ている衣服を剥がしていく。 「フェインっ!! イヤぁっ!!」 彼女はあの夜とは違い心底苦痛なのか、大きな声を上げた。 それでも俺は聞き入れず、上半身の俺が貸した上着、彼女の上着、彼女の下着を乱暴に剥がしていく。 「やめてっ! お願いっ……!! フェインっ!! ……っ!?」 俺は彼女の両手を脱がせた上着で縛り、固定する。 「……どうしてこんなことするの……?」 上半身裸体の彼女は縛られながら涙を流した。 常軌を逸した俺にはそれは誘い文句でしかなくて。 「全く君はよく泣くな、天使サマ」 俺は彼女の形の良い乳房の突起に吸い付く。 「っ……!!」 彼女は顔を顰めて声を殺した。 「……君が悪いんだからな……」 彼女の胸の尖りに舌を這わせ、時折強く吸ってやる。 すると、尖りは硬くなって徐々に勃起していく。 「……んっ……ふぅっ……や、やめてっ……」 彼女が目蓋を固く瞑ると涙が速度を上げて重力にならって彼女の耳後ろを伝っていった。 俺はそれを見ないようにして優しく激しく愛撫を続ける。 片方ずつ、丁寧に丁寧に。 「……っ……フェインっ……やめ……っ……あっ!?」 彼女のピンク色の尖りがそそり立つと、俺は今度は彼女の下半身へ手を忍ばせる。 スカートを撒くって、彼女の秘部へ。 「……っ……いやっ!!」 俺の手がそこへ触れようとすると、彼女は足を閉じ触らせまいと抵抗した。 「……抵抗しても無駄だとわかってるだろう? それとも、指じゃ嫌なのか? ……仕方ない」 俺は彼女の足元の方へ移動して、彼女の足を無理矢理こじ開ける。 「……っ……フェインっ!!」 彼女は俺を強く睨んで怒鳴るが、俺は目の前の白い下着に躊躇うことなく手を掛けた。
to be continued…