贖いの翼・銀の誓言 三片:二人の距離② フェインSide ★

 俺は背中と髪を洗い終えると、背後から彼女の胸を両手で包んだ。

「あっ……ちょ、フェインっ! 前は自分でっ……」

 くにゅくにゅと、泡まみれの手で、乳頭を摘むように引っ張りながら洗う。

「……全身、洗わせてくれないか?」

 耳元に、熱い吐息を吹きかけながら柔らかな膨らみを優しく揉み拉いていく。

「っ……ぁっ……はぁっ……」

 ウィニエルの乳頭が少し硬くなってきた。

「……ウィニエル、胸……少し大きくなってないか?」

 にゅるん、にゅるんと、乳房を捏ねると、いつもより大きくなっている気がした。

「……ん……そ、そうですか? ……わかりま……せん……ぁぅ……」
「ウィニエルの胸はまだ成長するんだな……」

 俺は親指と中指で乳頭を摘んで、その先を人差し指で、軽く突いてやる。

「……な、何言って……んぁ……」

 するとウィニエルが甘い声を上げて、熱い吐息が宙を彷徨う。

「……ウィニエル、感じるのか? 俺は身体を洗っているだけだぞ?」
「……フェインっ!」

 悪戯に告げると、彼女は俺を見上げて頬を膨らます。

「……ここも、洗わないとな。さっきのが残ってるしな」

 俺は片方の手だけ、彼女のお腹を通り、薄い陰毛を越え、秘所へと指を侵入させていく。

「ゃっ……ダメっ……そこは、自分で……ぁっ」

 ウィニエルが抵抗して俺の手を止めようとするが、泡の所為で尻が滑り、慌てて浴槽の淵を掴んだ。

「……君はドジだからな、ちゃんと掴まっているように」

 彼女に注意して、割れ目のその奥に中指を滑らせる。

「フェインっ……あぅっ……んんっ……」

 滑らせた中指で、奥を優しく掻き回した。

「はっ……ぁっ……ああっ……」

 泡と、俺の出したものと、奥から溢れてくる蜜に、
 何の障害も無く指が動いて、次第にそれに合わせてウィニエルの声も大きくなっていった。
 そのうち、指をもう一本追加する。

「んぁっ!」

 ウィニエルが仰け反るように天井を仰いで背を逸らす。
 先程の余韻が再熱したのか、僅かに肩が震えていた。
 軽く達してしまったのかもしれない。

「……ウィニエル、あまり、大きな声を出さないでくれないか……俺だって我慢しているんだ」
「……はぅ……だ、だって……ぁぅ……」

 耳を赤くしたウィニエルが、切なげな息を漏らしながら、俺に振り返る。
 潤んだ瞳に上気した頬、薄っすらと開いた唇が、俺を求めているような錯覚を覚える。
 艶麗なその顔に俺は、魅せられてしまう。

「ここで、しようか?」

 俺がそう告げると、「え……」 と、ウィニエルは今にも蕩けそうな顔で俺を見つめた。

「君と居ると、俺は我慢が出来なくなる」
「ぁっ……」

 俺は、秘所を洗っていた手を放すと、彼女の肩を掴んで項に唇を落とし、泡を避けながら啄ばむように背まで口付けを落としていく。

「んん……くすぐったぃ……です」
「……俺は君の感じるところを全部知ってる」

 今度は、ウィニエルを振り向かせて、彼女の耳元にキスをした。

「……ぁっ……ま、待って……」

 びくりと、一瞬彼女が目を瞑る。耳が弱いことは百も承知で、そこから、首筋、胸元へと口付けしていく。

「……待たない」

 俺は上目遣いにウィニエルを見ると、口角を上げて、悪戯に笑ってやった。

「ゃっ……あっ!?」

 ガツンッ。

 ウィニエルの「あっ!?」の声と共に、何かがぶつかたったような音が聞こえた。

「え?」

 俺とウィニエルが一瞬視線を合わせて、音のした方に視線を送る。
 見れば、シャワーのカランだった。
 次の瞬間、

 ザァアアアアアアアッ!!

 と、頭上から勢いよくお湯が出てきたかと思うと、俺とウィニエルを濡らした。
 互いの身体を纏っていた泡が湯と共に流れていく。
 俺達は虚をつかれて、瞬きを二、三度繰り返した後、カランを閉める。

「…………泡、流れちゃいました」
「…………プッ」

 はははっ。
 ふふふっ。

 と、頭からずぶ濡れの俺達は互いに顔を見合わせて笑い合う。
 浴槽にはまだ泡は沢山あるが、湯に浸かっていない部分は全て流れてしまった。

 しばし笑いあった後、俺とウィニエルは見つめ合い、どちらかともなく、惹き合うように唇を重ねた。
 ウィニエルが唇を薄く開いて、俺の舌を招くように、控えめに自分の舌を出してくる。
 俺は誘われるままに彼女の舌に自身の舌を絡めたり、歯列をなぞったり、彼女の口腔内を犯していった。

「……んん……フェイン、すき……」

 ウィニエルの甘い声と、濡れた肩が妙に艶かしくて、俺は彼女の首筋から耳元に触れるか触れないかくらいに指を沿わせた。

「んん……はぁ……」

 気持ち良いのだろう、触れられる側に首を傾けて、素直に受け入れている。

 首筋から、胸元へ口付けを落とし、乳頭まで来ると、先を強く吸って、舌先で転がすように舐める。

「ぁっ、ぁぅ」

 その度にウィニエルが甘い吐息を泳がせて、縋る様に俺の濡れた髪を弄った。
 一頻り愛撫を繰り返した頃、湯に浸かった俺自身が辛くなって来て、彼女に訊ねる。

「ウィニエル……もう、いいか?」
「……はぃ」

 惚けたような顔のウィニエルを前に、俺は片手で大きくなった自分のそれを握ると、空いたもう片方の手でウィニエルの手首を捉えて、その手で俺自身に触れさせる。

「ぁっ……」

 ウィニエルは察したのか、自分の手を掴む俺の手を振り切って膝立ちし、湯の中の見えない俺のそれを見下ろすと、上気したままの顔で小さく唾を飲み込んだ。

「上に、乗れるか?」

 俺は目線をウィニエルに合わせ、彼女の腰に触れて上に乗るよう促した。

「…………は……ぃ」

 消え入りそうな小さな声が聞こえると、ゆっくりと俺の方へと近づいてくる。

「……えっと……ど、どうしたら……」

 俺を跨ぐようにしてウィニエルが訊ねて、戸惑うように視線を絡ませた。

「……そのまま、ゆっくり腰を下ろせばいい」
「…………」

 俺の言葉に促されるようにゆっくりとウィニエルが腰を下げる。
 俺はウィニエルを迎えるべく、握っていた自身を支えたまま、彼女が来るのを待った。

「……うまく……入るかどうか……」

 ウィニエルが何度か腰を下ろしたり、上げたりしながら、俺を探す。
 台詞通りにうまく入れることは難しいようで、泡風呂の中じゃ見えないし、当たり前か。

「……ウィニエル、もう少し手前側だ」

 俺は空いている手でウィニエルの尻に触れると、ぐぃっと俺側に寄せた。
 すると、温かくぬるっとした感触が俺を包む。

「……っ……ぁ……」

 ウィニエルも俺が入ったことがわかったのか、視線を合わせると、一瞬だけ目を瞬かせ、バスタブの左右の縁をそれぞれ掴んだ。

「……入ったな」
「はぃ……っちゃいました……」

 明らかに湯にのぼせたのとは違う赤い頬と耳をしたウィニエルは、俺の声に素直に応えると、繋がったままお互いに視線を交わす。

「……痛くはないか?」
「……平気です。……ただ、いつもとちょっと違う感じがします」

「ん?」
「……その……明るいし、見られていて恥ずかしいです……」

 そう告げると、ウィニエルは俯いてしまった。
 酒が入っていないからか、スイッチが入ってないからか、まだ羞恥心の方が勝っているらしく、この状況にも関わらず気恥ずかしそうに声が掠れている。

「ふ。何を今更、いつも君の乱れる顔を見ているというのに?」
「う……、で、でもそれは暗いところですし……」

「朝からしたこともあるだろう? 俺は君の肌を隅々まで堪能して、何でも知っている」

 少しわざとらしく口の端を上げて言ってみると、

「やっ……フェインっ! そ、そんなこと口に出さなくてもっ……」

 ウィニエルの瞳が潤んで、俺を見つめてくる。
 何度と無く身体を重ねているというのに、乱れ始めるまではいつもこうだ。
 もう今は殆ど失いかけた俺のサディスティックな部分が掻きたてられて、つい、弄りたくなる。

「……君のそういう所が、愛おしい」

 俺は彼女の濡れた首筋、耳元に唇を落とす。

「……ぁ……っ……」

 ウィニエルの身体がびくんと跳ねる。

「……わかってるだろう? ウィニエル」
「……は、はぃ……」

 柔らかく笑って首を傾げて訊ねると、ウィニエルは恐る恐る俺と視線を合わせてからふわりと微笑んで小さく頷いた。

「なぁ、ウィニエル……お願いがあるんだが……」
「はい……」

「……そろそろ動いてくれないか? このままだと、俺も辛い」
「っ……は、はぃっ……」

 俺の陽物はウィニエルに包まれてはいたものの、全く動いていないため、吐精できる状態ではなく、このままだと萎えていく。
 ウィニエルは意を決したかのようにぎこちなく腰を浮かせて、完全に抜けてしまわないようにして、また奥へと俺自身を包んで扱き出した。

「ぁっ……」
「……そう、そのままもっと早く」

 俺がそう言うと、ウィニエルは微少に速度を速めた。だが同時、ふるふると浴槽の縁を掴む手が僅かに震えている。
 まだまだゆっくりした動きだが、ウィニエルは充分感じているらしく、

「はぁ……ぁ……っ……」

 甘くて熱い吐息が俺の耳に何度も触れる。

to be continued…

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