俺もイクまではいかないが、そこそこ気持ちがいい。 あのウィニエルが一生懸命腰を動かしていると思うと、興奮も止まず萎えることなく硬さを維持できている。 「はっ……はぁっ……ん……っ……」 ウィニエルは一心不乱に腰を上下させ、歯を食いしばったかと思うと、次には一気に息を吐き出すように苦しそうに呼吸する。 「…………」 俺はというと、いくにいけない状況で、ウィニエルを静観しながらただなだらかな気持ちよさに身を任せていた。 「……っ……はぁっ……フェインっ……」 ふと、ウィニエルが腰の動きを止めて、俺の頬を両手で包み込んで、見つめてくる。 「……ん?」 「……ふぅ、ふぅ、……あ、あの……ひょっとして……気持ち、良くないですか?」 ウィニエルが乱れた息を整えてから、俺を伺うように不安そうな顔で首を傾げる。 「……いや、気持ちいい」 俺は彼女を安心させるため目を細めてやんわりと口角を上げた。 「そう……ですか? あんまり……気持ち良さそうじゃなかったみたいだから……」 まだ不安そうに俺を見つめている。 「……正直、いく程じゃないが……気持ちはいい。君からこうしてくれるなんて思ってもみなかったからな。言ってみるもんだな」 と、ウィニエルの頬に軽く口付けてみる。 「……も、もう……そんな恥ずかしいことさらっと言わないで下さい……」 俺の口付けた頬に手で触れて、耳まで赤く染めると俯いてしまった。 「ウィニエルは気持ち良くないのか?」 今度は俺が少し心配したような声音で首を傾げて問うてみると、ウィニエルが慌てて頭を上げて、 「い、いえっ……気持ちいいです……とっても…………」 と告げて続けて、 “でも……” と、小さな声が僅かに聞こえた。 「……ん?」 「……あの……私も、その……」 ごにょごにょと、口ごもりながらウィニエルは落ち着かない様子で目を泳がせる。 「…………ああ、君も一緒なのか」 俺は合点がいって、彼女に伺う。 「! っ……ぅ……は、はい……」 消え入りそうな声が俺の耳に届くと、彼女の瞳が少し潤んで見えた。 「……やっぱり、俺が動いた方が気持ちいいか?」 「…………」 ウィニエルからの返事はなく、ただ俯いているだけだった。 欲しいくせに、言わない。 この対話している間も、俺とウィニエルがずっと繋がったままという事実を彼女は理解しているんだろうか。 さっきまで自ら腰を振り、俺を扱いていたのにも関わらず、この期に及んで恥ずかしいとでも思っているんだろうか。 ……まったく。 いつまで経ってもどこか染まらない初々しさを失くさない女だ。 それがウィニエルらしさなんだろう、俺はそこも堪らなく好きだと思う。 彼女から俺を欲しいと言わせるにはもう一つ鍵を外さないといけないようだ。 「……ウィニエル、反対を向いて、こちらに尻を向けてくれないか?」 俺はウィニエルの腰を持ち上げて、俺から退くよう促した。ウィニエルが退いたら俺も立ち上がって体勢を変えようと思っていた。 「え……ぁっ、……はい……」 ウィニエルが腰を上げて離れようとすると、ぬるりと彼女の中から俺の陽物が引き抜かれる。 緩やかに圧迫された空間から解き放たれたそれは、そのまま温かな湯の中に解放されると硬さを保ったまま、俺が立ち上がるのと同時、湯よりも低い温度の空気に触れた。 「ぁ……」 俺の立った位置に丁度、まだ体勢を然程変えていない腰を浮かしただけで膝立ちしたままのウィニエルの顔があり、彼女の目の前に俺の一物がやや下を向いてぶら下がっていた。 硬さはほぼ保ったままだが、冷たい空気の所為か先程より少し萎えたような気がする。 「……っ……」 ウィニエルは俺の一物をまじまじと見た。 刹那、ごくり、と、小さく彼女が息を呑んだ気がした。 ウィニエルは自分の秘所を見られるのを恥ずかしがるが、俺は男だからか、見られるのは何ともない。 さして気にも留めなかった。 「……ウィニエル、ほら、後ろ向いて…………え?」 俺は彼女を浴槽の端へと促そうとしたがウィニエルは動かず、次の瞬間、 ウィニエルの細い指が俺の一物へと伸びて絡まり、 「……はむ……ん……」 ふっくらとした薄紅色の艶やかな唇がそれを含む。 彼女の奥とは違うぬるっとした温かい感触が包み込んだ。 「っ!?」 ……俺の分身をウィニエルが咥えている。 俺は驚き過ぎて声が出せなかった。 人は驚き過ぎると瞬時に声は出せないものなんだと、改めて気付く。 「っ……ウ、ウィニエルっ!?」 直ぐに我に返って俺はウィニエルの頭に触れる。 「ちゅっ……んっ……ちゅぱ……」 ウィニエルが頬を紅潮させながら何かに憑かれたように俺の分身を舐めまわす。 「っ……ウィニエル……そんなことしなくても……」 俺は拒むように彼女の頭を撫でるが、下の方は酷く反応し、硬さが戻ってしまった。 「……んんっ……らって……いっつも……ぴちゃ……」 ウィニエルが上目遣いに俺を見上げる。 「っ……あ……」 ふいに俺の口かららしくない吐息が漏れてしまう。 いつも余裕でウィニエルを翻弄している俺が、本当にらしくない。 ちゅ、ちゅ、ぴちゃ…… 静かなバスルームに卑猥な水音が溶ける。 「……も、もう、いいっ、いいからっ、ウィニエルっ!」 俺は堪らずウィニエルの頭を遠ざけるように押し剥がす。 「……フェイン……気持ちよくなかったですか?」 「っ……」 ウィニエルは心配そうに眉根を寄せて俺を見上げてくる。 その彼女の唇の周りが唾液でだらしなく輝き、酷く艶かしく見える。 「…………はぁ……いや、気持ち良かった」 一息吐いてから、彼女の髪を一房手に取り撫でた。 「ならどうして……?」 「……まさか、君がこんなことしてくれると思わなくて、吃驚しただけだ」 俺に拒絶されたのかと未だ不安気な表情のウィニエルに素直に告げる。 「……え……」 「時々君は、思いがけないことをするから驚かされる」 「……あ……そ、そうですよね……」 俺が告げると、自分でもそう思ったのだろう、俯いてしまった。 その耳を見ると、朱に染まり、顔を上げようとしない。 「……自分でも、よくわからないまましてしまったのか」 「…………」 無言のままコクコクと小さく首を縦に振ると小さな声で、 「……いつも、私ばっかり気持ちよくしてもらってるから、フェインに気持ちよくなって欲しくて……それしか考えていませんでした……」 顔を上げないままそう呟いた。 ウィニエルの言葉に俺は胸がぎゅっと締め付けられる感覚を覚える。 俺はいつもウィニエルに気持ちよくなって欲しいと思っていたが、彼女も俺にそう思っていてくれたんだな。 愛しさが込み上げて、唇が自然と緩く弧を描いていく。 「ウィニエル……顔、上げてくれないか?」 俺はウィニエルをすぐにでも抱きしめたくて、同じように膝立ちをして、向かい合うものの、 「…………」 彼女は恥ずかしさのあまり、未だ顔を上げられずにいた。 「……ウィニエル、別に恥ずかしいことじゃない、顔、上げてくれないか?」 俺は彼女の肩を掴んで、覗き込むように耳元に囁くと、 「……はぃ……」 ようやく茹蛸のような頬をしたウィニエルと目が合った。 「……ありがとう、ウィニエル、今度またベッドでしてくれるか?」 「ぁ……は、はぃ……」 俺はウィニエルに礼を言うと、瞳に涙を湛えた彼女の唇に口付けを落とした。 んん……。 ぁ……。 彼女の口腔内を弄るようにして、舌を絡め取っていく。 舌の裏側、根元部分もじっくり味わうようにして、甘く深い口付けを何度も繰り返す。 「んぅ……ぁっ……」 何度も交わす口付けに、次第にウィニエルの膝がガクンと落ちて、座り込んでしまった。 「ウィニエル、愛してる」 「わ……た……も……はっ……」 そのうち唇だけでは飽き足らず、ウィニエルの乳房を下から持ち上げるようにして優しく触れて、先端を微少に突いて刺激も追加する。 「ぁ……だめ……そこ……」 眉を顰めるものの、もっとして欲しいおねだりのような甘い声が聞こえた。 彼女の顔をよく見てみれば、瞳からは涙が溢れ、額は少し汗ばんで、俺に縋るように首に手を回して必死に受け入れている。 湯の温度もあって、熱くて息が苦しいのだろう。 しばらくの口付けと愛撫を終えると、 「……そろそろ、上がるか」 「はぃ……少し、のぼせてしまったかもしれません……」 俺の声に顔を赤くしたままでぼうっとし、視線の交わらないウィニエルが返事をする。
to be continued…